“鳥”と云う名のアトリエ

夏の宵口、大塔宮まえAteller Kikaで自身の作品展に顔を出した帰り、近くにアトリエ&ショップを開いた
写真家で帽子作家の黒田真琴さんのところに寄り道をする。
雪ノ下、ビゴのパン屋となりのイタリア料理「ラ ポルタ」二階に、
スペイン語で“鳥”を意味する「パハロ」と云う名の空間は、天井が高く
屋上へ続く吹き抜け天窓から自然光の入る、床の板目も新しいアトリエ。

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写真家としてスタートした湘南在住の黒田さんは、世界中を旅しながらファインダーを覗き、
瞬間を焼き付け、ビーズ・ボタン・羽根・糸などの素材をピックアップし、
そこから、此処ではない何処かからか来た“何か”を、帽子と云うかたちにして見せてくれる。
手を動かし作りながら作り込む作業の初めの一歩は、デザイン画も編み図もなく、
素材と手の趣くまま自由に、羽根を広げ、ゆっくりと旋回しながら帽子のかたちになっていく。
モロッコ・スペイン・イタリアなどで拾われた旅の記憶が、印画紙に光と影で描かれ、
帽子の編み目にビーズやボタンを散りばめる。
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この日は、グリーンの帽子につける花を、ベトナムで求めた刺繍糸で編みながら
アトリエの彼方此方にいる鳥と共に出迎えてくれた。
このアトリエ限定で帽子についている金属メダルには、Pajaroの文字と鳥がつばさを広げたレリーフ。
麻などの天然素材で編まれた帽子は、風通しが好く柔らかで、ふわりと頭に止まり包んでくれる。
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帰り道、帰宅途中の鳥たちと雲を見上げ、風を読みながら由比ヶ浜の自室を目指し、
始まったばかりの夏の空気を胸いっぱいに吸い込む。
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上昇気流に乗る。
nn

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