10月から11月にかけて鎌倉市内の小中学校では“学校へ行こう週間”
なるものがあり、その期間中は一般の人にも学校を開放してくれます。
友人を誘い、裏駅から近く古い門構えの御成小学校へ出掛けました。
古い古い木造校舎が残っていたり、中央図書館へ行く道すがらチラリ
と見える校庭は、鬱蒼と茂る木々に囲まれ山間の学校のようにも見え、
何とも懐かしいような風景で通るたび気になっていました。
学校司書をしているTさんと、まず最初に目指したのは図書室です。
新校舎の階段を上がり、左手に出島のように独立した建物の八角錐の
天井はとても高く、上からの光が降りそそぎ、明るく暖かい印象です。
八角形の図書室は窓に囲まれ、低い書架と低いテーブルと椅子が
あちこちに点在していて、ゆったりとした空間が作られています。
かつて使っていたのでしょう、レトロな応接テーブルやソファなども
混じっていて、今どきのカフェのよう、
蔵書の多さにも目を見張ります。
Tさんと本について話しは尽きず、暖かく緩やかに時間は過ぎて
いきます。新しい建物ですが木をふんだんに使い、古き佳き時代の
面影も残っています。
一年生の教室などは廊下との仕切りやドアがなく、代わりに桃色の
カーテンが端に寄せてありました。図工の時間、紙粘土に絵の具で
色をつけ、お弁当を作っている子どもたちの姿が見渡せます。
体育館前の廊下には上を通るスロープしたに、こっそりと横穴風の
空間とベンチがあります。昔の“空き地に土管”の雰囲気です。
そとに出て広い土の校庭を歩きます。濃いみどりと黄葉の木々を
バックに、子どもたちがハードル飛びをしています。給食室からは
美味しい匂いが漂って、白衣姿の人たちが立ち働いているのが見えます。
高浜虚子が筆を走らせた御成門(校門)表札を背に、
大人になった自分が、ランドセルを背負っていた頃の
小さな自分を見守っていました。
nn