雪見ぜんざい

               ぜんざい

フワリホワリと舞い降りる白きもの。まるで天から湧いてでもいるかのように…
もう既に白で被われた景色は,いつもの景色とはまるで違って見える。
全てが丸みを帯びた清潔な生まれたばかりの姿だ。雪はいいナーと,北国生まれでないから呑気に思う。特に初雪の朝は眩しい白さに歓声を上げてしまう。まだまだ降り続く雪のせいで,白くぼんやりした景色が別の世界へ連れ出してくれる。しばしボーッと浸っている。フト気付く。そうだ昨夜あずき豆を水につけていたんだ-イキナリ現実の世界へ。早く火にかけよう。コトコト煮込んで砂糖をたっぷり,塩をちょっぴり,甘ーいぜんざいを作ろう。おモチはこんがりキツネ色,器はそうネ,こないだKosumiで買ったカフェオレ・ボール,あれによそってみよう。
雪が嬉しいのかぜんざいが嬉しいのか,家事もチャッチャと進んでいく。雪はまだまだ降ってます。いいぞ,いいぞ,準備完了。いつものテーブルではなくて,窓辺の小さな丸テーブル。雪見ぜんざい。何ともゼイタク気分。そして音楽は女性ジャズシンガーの競演。エラ,サラ,ビリー・ホリデー。懐かしい歌声を聴くことになったのは,随分前に買った村上春樹のエッセイ「村上ラヂオ」を前日再びパラパラ拾い読みしていたら「アメリカの古い歌に柳よ泣いておくれ (Willow Weep For Me) というのがある。ビリー・ホリデーが素晴らしい歌唱を聴かせている。」とあったので,雪の日とは全く関係ないのだけれど,じっくり聴くにはいい日かなと思って夫にかけて貰い,その流れでサラ・ヴォーン,私の大好きなエラ・フィッツジェラルドと聴くことになったワケ。
雪・ぜんざい・ジャズ…何の繫がりも無い様で不思議にしっくり来たのは全てに懐かしさが含まれているからじゃないかしらと,フト思った2008年初雪の日でした。
nn

タイトルとURLをコピーしました