海岸映画とおにぎり

朝から雨が降ったりやんだりひかりが射したりと不安定な空模様。
天上のいろ、雲の行方が気になるのは、干したばかりの洗濯物と逗子海岸映画祭があるから。
逗子のヨーコさんに誘われて夕方からのライブと映画上映に出掛けるタイミングを、
制作の合間何度も窓を開け、風を読む振りをしながら雲と空の分量に見当をつける。
トーベ・ヤンソンの『島暮らしの記録』を引っぱりだしビューフォート風力階級表
を見るが、能くわからない。
黒い雲が消え、白濁した空色と鳥の鳴く声を合図に外にでると、頭のなかに澄んで
ひんやりとした雨上がりの空気が流れ込む。作業中は集中しすぎて、呼吸が浅くなる。
深く息を吸いコッチ側に帰ってくる準備をする。
ドリブルするようにジグザグに人を避けながら駅へ向かい、リビエラ行きバスに乗る。
海岸映画祭の協賛者でもあるヨーコさんのあとについて砂浜に降りると、
広がる水平線とすっきりした空を背に大きなスクリーンがあり、
周りには三角のちいさな旗が連なってはためいている。
fujizushi2.jpg
゛CINEMA CARAVAN゛の文字が逆光で宙に浮きあがっている。
逗子の砂浜は鎌倉のそれと比べると幅がせまく海までがやけに近くていつも心許ない。
雲間から天使の梯子が降りてきた。
ギター、ベース、バイオリン、パーカッションの京都からきた四人編成バンドNabowa
の演奏で夕方のメニューが始まる。映画開場まえの少しの間に、「海のレストラン」で
クスクスプレートを食べ、お腹を満たして暖をとる。
雨上がりの海風はとても冷たく震えながら砂浜に腰をおろした。
この夜はイギリスの映画「リトルランボーズ」(2007年)、
ふたりの少年が映画作りを通して友情を育む物語り。
最近、子どもと接する機会が多い所為か自分が幼かった頃を思いだすことが多く、
その時分の気持ちがよみがえり大いに楽しむ。
エンドロールに皆で拍手をおくる。
一日空けてまた逗子のヨーコさん宅へ。この日はケータリングの手伝い。
fujihayama3.jpg炊く寸前の米
葉山町の景観フォーラム懇親会へ、黒米と白米に梅干しを炊き込んだもの、
漁師のシローさんが採った地物の生ひじき入りご飯、
葉山産緑米(古代米の一種)のおにぎり三種。
単純作業だが百個近いおにぎりをむすぶとボディーブローを食らったような、
やんわりと後から落ちる疲れに見舞われた。
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初めてくちにする緑米はモチモチとして餅米と玄米のような風味。香ばしさと甘みが強い。
会場の葉山マリーナ海岸事務所? 三階から望む江ノ島はやけに近く、
富士山が日没のそらにそのゆるやかな曲線をくっきりと描いていた。
天使のすべり台のように。
nn

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