本の遠足

友人から“光りの春”と言葉を添えた、モノクロームの写真が届いた 二月。
まだまだ空気は冷たく冬の只中にいる気でいたけれど、
鼻先をかすめる風に溌剌とした香り
目をあげると沈丁花のちいさな花叢を見つけた。

弱い陽射しのなかを早足で駅へと向かう。
以前、学校司書として勤めていた小学校の、図書整備と読み語りボランティアの方々と再会、
この日は「本」にまつわる鎌倉めぐりのお伴をさせていただく。
まずは若宮大路近くに移転した、しかけ絵本専門店「メッゲンドルファー」へ。
赤ちゃんから大人まで楽しめる、世界中のしかけ絵本がサンプルと共にあり、手に取り開く。
みなさん、店内のあちらこちらで楽しそうに絵本を開く。
平面から立体へ。

「本」と云うオブジェには、二次元から三次元、そして四次元 無限大…
ページをめくるごとに 読み進めていくその先に 果てしなくつづく世界がある。
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札幌にいるいとこの孫むすめ(!)へ、動物たちがとびだす、ちいさな絵本を選ぶ。

つづいて一行は由比ガ浜通り、絵本作家中川ひろたかさんのお店「SONGBOOK Cafe」へ。
店内ぐるりに絵本や原画、真ん中にテーブル、お茶を飲みながら絵本を手に取り購入することも出来る。あまりの寒さにオリジナルブレンドの“ブルトンコーヒー”を頼み、Iさんとおしゃべり。
フランスの詩人アンドレ・ブルトンから来ているのか? 訊くのを忘れてしまった。

空はますます雲を厚くし風は更に冷たく、通りを駅に向かい、くだっていく。fuji1741.jpg

鎌倉の古書店を舞台にしたドラマに使われた「公文堂書店」へ。
出発時にいただいた今回の「鎌倉めぐり」資料には、創業1940年、鎌倉で一番古い古書店とある。
ここで本を買うと可愛らしい包装紙でくるみ、輪ゴムをかけてくれる。
店内奥のほうでは、むかしむかしの絵本をまえに歓声が聞こえる。
おもてへでると、Kさんが「“錆び”の本がステキでした」と教えてくれた。

お子さん達が帰ってくる時間に合わせて解散、
時間に余裕があるかたと昼食をご一緒し、ひとときを過ごす。
帰り道、花屋の店先が明るい。
ひかりのつぶを沢山つけたミモザを見つけ、ひとえだ求める。
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太陽を包みこむ雲はグレー、ミモザの黄色が映える。

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