文学館へ

 早朝より神鳴り。
雨が降ったりやんだりで、日が射すと蒸し暑く、午後からは汗をかきかき、
作家の堀江敏幸さんとNHKプロデューサー氏の講演会に出掛ける。
鎌倉文学館での生誕100年吉田秀和展に関連して、ラジオ番組「名曲のたのしみ」
を中心とした吉田秀和考。
いつだったか、Kosumi店主から堀江さんの著書を薦められて読んだのがきっかけで、
図書館にある堀江作品をかたっぱしから読み、『河岸忘日抄』は文庫版を手元に置いて、
気が向くと何度も読み返している。
NHK-FM「名曲のたのしみ」は、吉田秀和さんのおはなしも音楽のように聴いた番組。
はなしの“間”が心好いリズムを醸していた。
講演終了後おもてにでると小雨、涼しい風も吹いているので、長谷にある文学館まで歩いてみる。

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鎌倉文学館は旧前田公爵家の別邸で、いまの建物は第16代当主が昭和11年に改築したのだそう。
和洋の建築様式が混在するステンドグラスも美しい館、テラスからはバラ園の向こう遥かに
水平線が臨くのも好ましい。
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この日は曇天と海がおなじ階調で、うっすらと横に引かれた線が水の濃淡を表すしるしをつけていた。
展示室で堀江さんのうしろ姿を見掛けたような気がした。
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       自室にもどり、読みかけてそのままの『吉田秀和全集6』を開いてみる。
               小口の淡いみずいろがおぼろに霞む海を見る。
nn

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