朝からカラリと晴れた或る日、
早いうちから鳴き始めた虫の音を聴きながら制作をし、
明るいうちに作業を終わらせて、
久しぶりに海水浴客から解放された砂浜へ出掛けました。
上空には強い風が乱れ吹いているのか雲があちらこちらに走っていて、
目に見える手の届かない距離で聖域を作っているようです。
風に吹かれながらゆっくりと由比ヶ浜を歩いていると
空が朱鷺色から唐紅に変わり、みるみるうちに太陽が沈んで、
もうすっかり夏が終わったことを知らせます。
足元が覚束なくなってきた時刻、
仕事帰りだと云う友人のCから声を掛けられ、
裏駅のコーヒー屋で何とはなしに喋るでもなく、
灯りに照らされた庭のプールを眺めながらコーヒーをすすり、
宵の口をやり過ごしていました。
Cはこの秋に小亀を飼う話、もう名前は決まっていて
“きたかまくら”と“かまくら”と云う名で、亀の種類も聞いたけれど
2分後にはすっかり忘れてしまった。
Cとわかれた後、もう少し歩きたくて線路に沿って
北鎌倉に向かう道を何となく歩いた
蜂蜜屋を過ぎてしばらく暗い道を行くと、ほの明るい一角が目にはいり近づくと、
閉店後の西洋骨董屋らしい、星を売る店に見えなくもないのですが。
まあ明日また来て確かめようか、でも、夜のこの感じが素敵だから
お昼間の明るさでがっかりしてしまうのもちょっと嫌だなと
小さな踏切を渡って帰りました。
月が皎々と輝いて道端にはミルクホールの看板がまだ出ていました。
nn