夜気が冷たい帰り道、
裏駅の御成通りは人影もまばらで、ほとんどのお店がお仕舞い
海からの風音だけが聞こえる。
灯りが煌々と点っている間口の広い店先に惹かれ、
歩調をゆるめ 紹興酒の甕やら大小の酒瓶 調味料などを眺める。
軒のはしに酒粕の袋が積まれた箱が目にとまり、求める。
御成通りにある高崎屋本店は
「NO LIQUOR, NO LIFE !」なんてTシャツを作ったり
お店の横っちょには角打ちがあったり、商品には濃やかな手書きの
説明が添えられていて家業を楽しんでいる様子が伝わる、酒屋さん。
レジを打つおじさんは大事そうに、こわれものを取り扱うように
「新米が獲れるのを待って作った新酒の搾りたてだからね、柔らかいからね、
焼いて食べるのはむずかしいけど、お味噌汁とか甘酒とか
春鹿の純米大吟醸から取った酒粕だから香りが良いよ、美味しいよぉ、
レシピ入れときますね」と、レジを打つあいだもずっと商品説明、
期待は高まり好い買い物をした気分になる。
年内の作品展が ひと段落ついたので、台所に立ち 作りおきのおかずを作る。
酒粕の袋に添えられたレシピには
“味噌6、酒粕4の割合で味つけをして味噌入り粕汁もおすすめです”と。
いつもより味噌を少なめにした味噌汁に酒粕を入れ、
美瑛の叔父から届いたかぼちゃ、にんじん、大根、ごぼうをつかい
一汁三菜の昼食とする。
滋味深くまろやかな粕汁に、温まる。
これに気をよくして後日、高崎屋本店で今度は春鹿の屠蘇酒を求め、
実家への手土産とする。
いわゆる屠蘇散の入った「お屠蘇」を飲んだことがないので、ごちらも楽しみ。
今年も二階堂にあるアトリエ・キカでのクリスマス・ギフト展に参加
させて頂いた。
陽射しの暖かな日、歩いて搬出に出掛ける。
店主の麻里子さんからパティスリーRのリーフパイを頂く。
おままごとみたいに リーフパイと 市場の平井君から求めた
金柑をならべておやつに。